ブリッジ [DVD]

ブリッジ [DVD]

こーれも公開前から観たかったやつ。
やあでも映画っていうより、ザ・ノンフィクションみたいな位置づけだよね。テレビ番組って感じ。
ザ・ノンフィクションのがおもしろいかも。


観てて思ったのは、自殺した人達の境遇について。
多くが職をなくした人だった。
失業するってことは本当に大打撃なんだよね。
父親のことを思い出した。
失業とは別の視点から、自殺騒ぎを繰り返す友達のことも。


冒頭から長いこと焦点を当てられてたジーンという男性と生活していた夫妻の言葉にはすごく共感して聞いてた。
いつものことだから、とか
実際何度も聞いてるとうんざりする、
私には本当に必死に仕事を探してるようには見えなくて、
などなど。
おかんが観たらもっと共感するところ、思い出すところがあったと思う。


父親という身近な存在を通して見た失業と精神疾患のような症状だけど
バイト先で給料が出なかった時期、就活でダメダメだった時期、バイトすら見つからずグダグダだった時期が自分にもあるので
職がない、そして収入がないことのつらさを思い出し
あー誰でもこうなるんだなと思った。
ウワーアホっぽい感想。
バランスをとるのって難しい。
収入がなくなることによって失うバランスもあるけど
家族が欠けることで失うバランスもある。
たしか田口ランディの小説の中の台詞で
「人間が精神をおかしくする理由はまだ解明されてないんだよ」
って感じのものがあって
私はそれを読んですごい衝撃だったんだけど
(そしてまだそれが事実かどうかもわからないんだけど)
まあ解明されてたら統合失調症の原因や症状があれほどまでに多岐に亘っていたり、精神科に入院した人が入退院を繰り返したりすることはないだろうな・・
でも、人の心か。
そんなもののメカニズムが解明されたらされたでえらいことになりそうな。
そういえば心は頭にあるのか、心臓にあるのか、なんて話もあるね。
いや、臓器にもある、とかって話も・・


印象に残ったのはジーンの知人のおばあさんと、
自殺が未遂に終わったケヴィン、
自殺した息子の父親。
おばあさんは女優が台詞を覚えてきて演技してるのかっていうくらいまともなわかりやすいことを終始喋っていた。
ケヴィンは「前の普通の自分に戻りたいよ」と言ったすぐあと「無理だけど」と言った言葉、
別の父親は「あの子は今頃安らかにしていると思う」と言った言葉。
このお父さんは本当に物分りがいいって変な言葉だけど、そういう人で。
自分自身も大変な時期があって、それを乗り越えて、だからああいう考え方なのだろうか?
それとはなんか違う気がするんだけど・・
でも信仰心が強い人意外のほとんどが
「(自殺した知人/友人は)今は安らかにしていると思う」とか
「あれでよかった」というようなことを言っていて
それに驚いた。
インタビューに応じるくらいだからそういう反応が多いのかもしれないが。
予想ではもっと「お前は俺を傷つけた」と怒りが混じった寂しさで涙ぐんでいた人のような反応が多いんだと思っていたので。
ただ苦しんでいる身近な存在を長いこと見て接していたら、その人が死にたいと言っていたなら、その通りになったことが一番だと思うようになるのかもしれない。
私は自分が死にたいと言う時には死にたいと思っていて、
人が死にたいと言っていても同じだと思うから
じゃあ死ねればいいのにね、と思う。
今日いいことあればいいのにね、っていうのと同じ。
それはあんまり一般的じゃないと思ってたけど、結構一般的なのかもしれない。
あーでも違うかな。
自殺したいという気持ちがわからないと言っていた人もいたし。
でもそう言いながら、故人の意思を尊重してか「今は彼も安らかよ」と言えるのは・・悟り?
違うものを違う、ただ違うだけと認めることは相当に難しい。
咳払いしまくりだった監督のインタビュー。
たぶんあの人の言いたいのは自殺する人を救いたい、数を減らしたい、というよりは、もっと苦しみが緩和されやすい世であってほしい、というようなことだったんじゃないかと思った。
自殺者数に固執することは、自殺防止柵に固執することと同じだから。


そんな感じで人と人の世についてうっす〜く思った。