新宿から下り方面の埼京線
定刻を待って、ホームにとまったままの車両。
時間が近づくにつれ、人の波がまとまってくる。
私は閉じたドア側に陣取って本を広げていた。
ふと、反対側のドア付近に立つ若い女性に気付いた。
携帯の画面を見ながら、左手でかぶっている帽子を直したり、
口元に手のひらを当てたりしている。
泣くのを堪えている。
息を吸い込んで、嗚咽を漏らしそうになると後ろ側に開いたドアの外を振り向いたりしていた。