今日はタダ券をもらっていたので映画へ。
ガスヴァンサントの新作(?一番新しいのはmilkとかそんなタイトルのようです)・パラノイドパーク
この監督、別に大して好きじゃなくて
映画を観てもなんというかモヤッとしたものの薄め液みたいな感覚が残る。
ストーリーはいつもあってないようなものだと思うんだけど
まあそれでも他にはエレファントくらいしか観てないことに気付く。
ただ名前を聞いてストーリーをちらっと聞いて観たい映画リスト(携帯のメモにある)に入れておいたのは
この人の映画の中の素人達がタイプなことが多いから。


そんなわけで今回もいいキャスティングでした。
見た目において、ね。私は歌のうまいヘタがよくわからないように、演技のうまいヘタもよくわからないので。


終始主役のゲイブなんとかにうっとり。
か、かわいすぎる・・!
中世イタリア絵画の天使のようだと、パンフレットの中のレビューに形容されていた。
え!私もそう思いました。
映画館があるビルのエレベーターから出てきた時、
3人くらいで鑑賞していたと思われる男女の1人が
「まージェイクがイケメンじゃなかったらなんでもなかったねー」
みたいなことを言っていた。
ジェイクというのはもう1人の主要?キャラクターだけどそれは俳優の名前で役名ではない。
その名前がすらっと出てくるということは彼女(イケメンじゃなかったら・・発言者)はジェイクうんたらのことを前から知っているのかしら?
まあそれはどうでもよくて、
ついでにもっとどうでもいいことを言うと
イケメンてのはジェイクよりゲイブだと思うな。
ゲイブはイケメンて感じじゃないけどさ。
だってかわいいんだもの。


いいなー私も男だったらスケーターになりたかったなーなんてヤワな思いを馳せつつ
映画自体にドシンとくるところもなかったんだけど
映画の後しばらくは外の世界との接触を避けたい思いでいっぱいだった。
どこかで物を買う時、レジで係の人と一言二言交わすことさえも嫌だと思ったほどだった。
誰にでもいろんな質問をぶつけたがる私としては珍しい体験だった。
ビルの外で煙草を吸っている時も、そこら中を行き来する人の群れに顔を向けられなかった。
人間観察好きなのに。
nanoの音量を最大一歩手前にして、人を攻撃するような、打ちのめすような音楽を聴く。
寄り掛かった壁はゲームセンターの類の店の、ガラス製。
聴いてる音楽と全然合わない、チンプンカンプンの振動が背中と肩に伝わる。
そういえば映画館で、ドクターペッパーを手にしたままでいると、映画の音響に合わせて缶が振動していたことを思い出した。


ここは寄り掛かる場所じゃねーな、と思い、2本吸ったところで駅に向かい歩き出す。
急ぐわけでもなく、緩慢なわけでもなく、前の人の歩調に合わせたリズムで足を運ぶ。
まだ街に焦点を合わせられない。
人の話も聞かず、人の顔も背中も見ていない。
渋谷のどでかい交差点で、信号が青になった途端、駅側に立っていた群集がこちら側に迫ってくる。
私や他の、こちら側の群集もむこうへ迫っていく。
この交差点はいつも少し怖い。
信号が歩行者に進行を許した途端、何かの小さい争い事をも始めさせたような気になる。
ここはおかしい、と思い、そこに自分も今含まれていることを痛烈に感じる。
今日もやはり誰とも「小さい争い事」を交えることなく家路につく。


電車に揺られて、少しずつ聴く音楽が変わっていく。
何かを何かに合わせるように、つまり音楽のジャンルや声で家に戻るシチュエーションにある自分を導くように。
マンションの階段を上がる頃にはjohn mayorになっていた。
行きに聴いていたのと同じ。


今家についてみて、たぶん久しぶりの休日の渋谷に疲れていたのかなと思う。
人混みっておかしいよね。
あんまり人で溢れていると攻撃的な気分になる。
その半分くらいの量だと、少し感傷的になる。
ほとんど人がいないと、どうだろう、それはその時々。
だって私は今までの人生のほとんどを、そのほとんど人がいない状態で過ごしてきたから。