赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

なんでかわかんないけど、ipadからだとこの、商品を出しつつ文章を編集するのができない。

つーわけでPCから。


川上未映子が芥川を獲った時に直木賞を受賞した桜庭一樹
気になってはいたんだけど、多分受賞作を手にした時か、台詞や書き方があまりにも独特で
しかもその個性が私の神経を逆立てていくような感じだったので結局今まで桜庭一樹は一冊も読んでなかった。
でもこの小説は、↑こういうゾワッとする気持ち悪さはなかったのと
何より大好きな女三代記だったので購入。
こうなると、あの気持ち悪い台詞の小説はこの人の本だったのかと疑問に思えてくる。
まあでもこの小説も十分妙なところがあるので、多分同じ人の本だろう。


読みながら、そして読み終えてから、
ああ私は本当に女の一生、みたいなものに焦点をあてた小説が大好きなんだなあとしみじみ思う。
別に男の一生でもいいんだが、自分が女だからやっぱり同性に対して感じる生々しさと羨望と、いろんな湿っぽい感情が入り混じって、そういうのが楽しいんだろうな。
考えれば、純文学に興奮していたのは太宰治の斜陽や、三島由紀夫仮面の告白にやられていたからだし。
本でなくても、だれか実在の人物の経歴とかエピソードを調べるのって大好き。
気持ち悪い趣味だな、でもこの本みたいに、親族の昔話を聞いてワクワクするのと同じノリもあるんだけどね。


タイトルからしてすごいんだけど、他の登場人物の名前もみんなすごくて、
名前負けしない(こんなこと書くと「運命が名前を引き寄せる、名前が運命を呼ぶのではない」と言ったタツに怒られるだろうが)キャラクターの強さとストーリー。漫画みたいです。
途中で驚くんだけど、祖母と母の人生を綴ってきた現代の主人公である瞳子は私とまあほぼ同年代。
今までこういう小説は昭和に書かれた、有川佐和子とか宮尾登美子ばっかり読んでたから
なんていうのかね、SPEEDの島袋寛子とか、モーニング娘。後藤真希が出てきた衝撃と同じものを感じたよね。
ああ、もう私達時代のスポットライトを浴びる年になったのね、っていう。
ということは同時に、もうすぐ後ろに舞台に立とうと準備をしている年下の平成生まれがいるんだけどね。
実際瞳子は私より年下で、平成生まれだったような。


そういうフィクションを帰省するための電車の中で目で追いながら、頭の中ではおばあちゃんと母のことを考えた。
いいタイミングでいい本を読みました。
でもそういうのってよくあるんだよね。
その時読んでる本に書いてある一部を、まるですべてが自分にあてはまるように勝手に感じて読んでる部分も多分にあるとは思うけど
どこかで自分が見聞きしたり選ぶものと、その時の自分はお互いに呼び合ってるところがあるというか。
占いとか信じないけど、こういうのはなんとなくあるような気がする。
モノとか細胞にも記憶が宿る、みたいな話大好きざんす。
伝記もつまり記憶の話だよね。
なにかの歴史って壮大な伝言ゲームだな。


ああ、今回の風邪はいつまで続くかな